スティーブモーターサイクルサプライ : アプリリア・MANA850 【走行性能編】
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アプリリア・MANA850 【走行性能編】

オートバイを操る醍醐味の大部分を占めている(と思われていた?)
ミッションの変速操作を自動化したオートマチックを搭載している
マーナ850、果たして走行性能は?
 

■オートマってどうよ?
 
manaimaga
 
乗ってまず驚いたのはオートマなのにオートマであることを意識する
こと無く、ごく自然にごく普通に大型バイクとして振舞えた
ことでした。
すり抜けも加速も車線変更も右折左折の体重移動も、なにも違和感が
ありません。
 
 
同じイタリア生まれでも
ライダーをフォローしないことで逆にバイクを操る楽しさを教えてくれる
90年代までのDucatiと、
 
ライダーの負荷軽減に気を配ったaprilia MANA850。
 
 
では
全く正反対の位置のような気がしたし、実際試乗するまでは
「バイクでオートマ??クラッチがない??」
と、当然懐疑的でした。
 
しかし、いざ乗ってみると

「あれ。。こっち(MANA)が正解かも。。」

と思ってしまうほど、「大型バイクを乗る」というフィーリングを
一切何も損なわずに上手にオートマ化されてることに驚きました。
 
まずオートマチックの制御。
 
走りのインプレに関しては雑誌のインプレ記事でも読んで
いただくとして…
 
私自身、コンピュータソフトウェアに携わっているせいかも
しれませんが、とにかく走れば走るほど
 
「よくここまでプログラミングできたな、」

と、感心するばかりです。
 
 
加速時の制御に関しては計算する要素も少ないのでさほど苦労も
なかったと思うのですが、びっくりするのは減速時の制御です。
 
減速したけど青に変わったのでやっぱ加速したい、など、あらゆる
場面を想定して一切手を抜かずプログラミングしていないと
すぐに
 
「やっぱオートマはだめだ」

とか

「使えない」「乗れない」

と思われてしまうことでしょう。

ところが1年半乗ってそんな不満はまずありませんでした。
きっと何千回も設定を変えて気の遠くなるような回数の
走行試験、トライ&エラーをしてるのだと思います。
  
  
もちろんMANAの癖とオーナーの癖が違うこともあるでしょうが、
逆に私は思いました。
 
Ducatiは厳しい『先生』だった。
僕にバイクを教えてくれた。
 
そしてMANAの癖は
 
実は「手本」なのだと。
 
「これが正しい優しい運転なんですよ」と優しく教えてくれる
バイクなんだと。
 
たぶんそう思った理由は一般の「多くの人」が乗る乗り物だから、
メーカーも一番「平均的」で一番「乗りやすい」と感じた人が
多かったロジックをコンピュータに組み込むのは当然であり、
それに違和感を覚えるなら、「自分の運転が普通じゃない」ことに
なるでしょう。
 
実際、乗ってて(MANAが)賢いなぁ、と思うことがあります。
これでしゃべってくれたらナイト2000のようだと思います。
 
 
 
 
■セミオートマ(シーケンシャルモード)
実は私が多用しているのはオートマよりシーケンシャルモードです。
MANAオーナーの多くはATモードで走行していると思われます、
せっかくのAT車なのにわざわざシフトチェンジを手間をかけるなんて…
と思われるかもしれません。
 
しかし、バイク経験の長いライダーやスポーツ走行の好きな
ライダーの多くは
 
「バイクでオートマ?バイクはシフトチェンジが面白いのに、」
 
と言うでしょう。
 
かく言う私もそのくちであり、
よって私はAT:セミオートマ=3:7ぐらいで走行しています。
 
 
modeswitch
操作:まずオートマ走行中に右手親指でMODEチェンジボタンを押すと、
    SPORT、Touring、Rain、の3つを選択できます。

オートマ状態でも「シフトダウン」だけは操作可能です。
(エンジンブレーキ(重要)やちょっと加速したときのため)

「シフトアップ」は操作しても反応しません。
 (それで不自由を感じることはほとんどありません)

 
manamode
SPORT、簡単に言うと「ひっぱり気味」
Touring、 ツーリング「燃費優先モード」
Rain、 味付けはSportとツーリングの中間で
    一番扱い易い、ただ、ラフなアクセルオンで
    スリップダウンしないようにアクセルガスを
    カットするのでエンストのようになり結構
    びっくりする。
 
  
 
shiftswitdh
SMTでは 左手親指で「+」ボタン(シフトアップ)、
左手人差し指で「ー」ボタン(シフトダウン)か、
左足の通常のバイクと同じシフトチェンジペダルでアップ、
ダウンが可能。
もちろん「クラッチ」はありませんから好きなときに手か足かで
操作すればいいです。
 
『左親指でシフトアップ、左足でシフトダウン』

これは(私にとって?)理想の操作系です。(ライダーの夢かも?)

実に理想的な操作だと思います。

 シフトアップで足をシフトペダルに回りこむようにしてかきあげる
 あのわずらわしさは「それしかないから」していただけであって
 どう考えても面倒だと思ってました。
 レーサーなんかは逆シフトなんかもあるし。
 左手親指1本でソレができるなら絶対そっちが楽です。

また、シフトダウンを左手人差し指でする場合、それはそれで今まで
無い操作系なので慣れてない。(せいぜいパッシングスイッチなどが
左手人差し指になると思うがそうそう使わないし)だから足でチョンと
踏めばそれで済む、とても楽です。
 
『左親指でシフトアップ、左足でシフトダウン』

もしMANAを買われたら是非お試しください、
(慣れが必要なので試乗だけではわからない楽しみです)

このSMTの利点はいくつかありますが、

 ・任意のギアで走れる(当然)
 ・シフトアップ時、「グンッ」と軽いショックを
  感じることができる(クラッチテイスト)
 ・高速道路で「ずっと7速」をキープできる。→燃費向上
  ※高速こそオートマで乗るべきでしょうが、
   逆にここはSMTで7速固定にして無駄な
   オートマシフトダウンを行わないように
   するのがツウ(?)
 ・シフトアップダウンでエンジン音が変わる
  (これもクラッチテイスト)

また、例えば4速で走っていて、そのまま赤信号で
停車した場合、自動的に一速に入りますので青信号
ではそのままアクセルオンだけでいいです。
なんとも横着な乗り方ですが慣れるとこんな便利な
もんはない、と思いました。
  
  
■SMTで峠を楽しめるか?
 
manaimage2
 
峠こそスポーツテイスト、クラッチテイストのSMTだろ?と思われがちですが、
これも乗ってわかったのですが 「峠こそAT(モードはSPORT)」 です。
理由は、
  
 
 『ただ曲がることだけに集中できる』
 
 
これにつきます。
 
もうこれは長年の経験からしてみれば一種の境地、
クラッチからの解放、革命です。
 
もちろん「全部おまかせ」ではなく、進入手前でもう少し
エンブレが欲しかったり、立ち上がりでトルク不足を感じれば
シフトダウンすればいいんです、
 
しかもノークラッチで!
 
進入で何速か悩まないでいい。回転数も気にならない。
コーナー出口が直線か更にブラインドコーナーが続くのか
で何速にするべきか?
 
その判断もしなくていい。
  
アクセル全域で常に一番いいトルクをキープし続ける、 からです。
 
2速と3速の間に2.5速とか、2.7速の恩恵がどんなに
ありがたいことか。新境地でした。

また、特に下り坂でびっくりします。
まるでローラースケートを履いたお化けがタンデム用ステーを
そっと掴んで常に後ろにひっぱってるような絶妙なマイナスGの
安定感があるんです。
 
つまりDucati乗ってたときは適切なギアにできず、ギアが高くて
パーシャルで下ったり、逆にギアが低くて余計なエンブレが
効き過ぎていたりと、『ヘタ』だったのでしょう。
※無論、「その中間のギアがなかった」ことも大きいが
 (と言っておこう)
    
 
CVTとは燃費だけでない、1速〜7速までの切れ目の無い変速
にこそ強みがあるのか、と峠を走ってつくづく実感しました。
 
とにかく、少々歳をとったせいもありますがノークラッチCVTが
いかに爽快なことか、MANAでの峠がこんなに楽しいとは
思いませんでした。
 
 
 
つづく…

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